少年を説得するピッチャー。~立川心療内科マンガ

◆ 「もしホームランを打ったら」が起こした奇跡。

あなたは、野球の神様ベーブ・ルースの有名な逸話をご存知でしょうか。
重い病気で手術を怖がる少年に、彼はこう言いました。 「もし僕が次の試合でホームランを打ったら、君も手術を受けると約束してくれるかい?」

結果、ルースは見事にホームランを放ち、少年も約束通り手術を受けて助かったという話です。
これ、実際は脚色が結構加わっており、実話としては

「病気の少年のために『キミのためにホームランを打つ」と手紙を送った(そして打った)という内容だったようです。

いえ、もちろん脚色はあるかと思いますが、それでも美談ではあるな、と思います。

さてこの「ホームランを打ったら手術を受けてほしい」という約束がもし実際の話だとしたら、心理学的にも非常に理にかなった説得方法と言えます。

◆ 恐怖を「物語」に変える条件付け

そもそも、 ただ「手術を受けなさい」と説得しても、少年の中には「痛い・怖い」という感情しかありません。

しかし、「ホームランを打ったら」という条件をつけることで、手術は単なる恐怖の対象から、
「ヒーローとの共同ミッション」へと意味が変わります。

これを心理学では「コミットメント(約束)効果」と呼びます。
「彼があれほど難しいことを成し遂げたのだから、僕も自分の役割(手術)を果たさなければ」
という、前向きな義務感が生まれるのです。

◆ 日常に使える「もしも」の魔法

このテクニックは、僕たちの日常でも使えます。
 
例えば、勉強を嫌がる子供に「このドリルが終わったら遊ぼう」と言う。

または少しドラマチックに。、
「僕がこの仕事を1時間で終わらせるから、その間、君も宿題を頑張ってみない? どっちが集中できるか勝負だ!」

こうして条件をつけ、自分もリスクや課題を背負うことで、相手の「やらされ感」を「参加意欲」に変えることができます。
 
一方的に命令するのではなく、「一緒にハードルを越える仲間」になること。それが、相手の重い腰を上げさせる一番の近道なのかもしれません。
何かの際にはぜひ覚えておいていただければ幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)