その言い訳で乗り切ろうとした男性。~立川心療内科マンガ

◆ 背筋を伸ばせば、心もピンと立ち上がる
あなたは、自分の「座り姿勢」に自信があるでしょうか。
デスクワークやスマートフォンの操作に夢中になっていると、気づけば背中が丸まり、
まるで茹でられた海老のような姿勢になってしまっていることは珍しくありません。
心の健康には気を使っていても、体の姿勢となると、どうしても重力に負けてしまいがちです。
しかし、心理学の世界では「姿勢」と「感情」には、切っても切れない密接な関係があることがわかっています。
今日は、心の元気が少し足りないなと感じたときに、すぐに使える「姿勢の処方箋」についてお話しします。
◆ 心と体は、双方向で会話している
普段、「悲しいから泣く」「楽しいから笑う」というように、心が主導権を握っていて、体はそれに従うものだと思われがちです。
ですが、近年の心理学研究、特に「身体性認知」という分野では、この矢印が逆向きにも働くことが証明されています。
つまり、「泣くから悲しくなる」「笑うから楽しくなる」という現象です。
姿勢も全く同じです。
背中を丸めて下を向いていると、脳はその姿勢を感知して、
「おや、体が縮こまっているぞ。ということは、今は自信がない状態、あるいは警戒すべき状態なんだな」と判断します。
そして、脳内ではストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増え、本当にネガティブな気分になってしまうのです。
逆に言えば、姿勢さえ変えてしまえば、脳をポジティブな方向に「騙す」ことができるのです。
◆ 「上を向く」だけで脳が変わる
特に効果的なのが、「上を向く」という動作です。
人間は構造上、考え事をしたり、記憶をたどったりするとき(内省モード)には視線が下に向きがちです。
一方で、新しい情報を得ようとするときや、未来に意識が向くときは、視線が上に向く傾向があります。
落ち込んでいるときに、無理やり顎を上げて天井や空を見上げてみてください。
不思議なもので、上を向いたまま深刻な悩みを考え続けるのは、脳にとって非常に難しい作業なのです。
視線を上げることで、光が多く目に入り、気道が開いて呼吸が深くなる。
この物理的な変化を、脳は「リラックスしている」「開放的である」と解釈し、
セロトニンなどの幸せホルモンを出しやすくしてくれます。
◆ 自信という「着ぐるみ」を着てみる
これは、「フェイク・イット・アンティル・ユー・メイク・イット(本物になるまで、ふりをしろ)」という言葉にも通じます。
自信がないときこそ、あえて胸を張り、目線を上げて歩いてみる。
それは、まるで「自信満々な人」という着ぐるみを着るようなものです。
最初は中身が伴っていなくても、堂々とした着ぐるみを着て振る舞っているうちに、
不思議と中身(心)もその形に馴染んでくるのです。
形から入ることは、決して悪いことではありません。
むしろ、コントロールしにくい「心」を直接どうにかしようとするよりも、
意志で動かせる「体」を変えるほうが、ずっと簡単で即効性があります。
◆ 1センチ、顎を上げる勇気
もし今、何かの壁にぶつかっていて、気持ちが沈んでいるのなら
まずは深呼吸をして、上を見上げてください。
その姿勢の変化と視界の広がりが、今まで見えていなかった解決策を見つける術になるかもしれません。
心を変えるのは大変ですが、姿勢を変えるのは一瞬です。ぜひお試しくださいね。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



