「やっぱりライト買ったから大丈夫」とサンタに言われた赤鼻のトナカイ~立川心療内科マンガ

◆ サンタクロースは最強のメンタルトレーナー?

あなたは『赤鼻のトナカイ』という曲をご存知でしょうか。

誰もが知っているこの名曲ですが、歌詞をよーく読み解いてみると、実は「サンタクロースが超一流の心理カウンセラーだった」という事実があったりします。

今日は、そんなサンタさんがトナカイにかけた「魔法の言葉」をヒントに、私たちの悩みも軽くしてしまう心理学のお話をしましょう。

◆ サンタさんが使った「魔法」の正体

歌の冒頭、トナカイは泣いていました。「鼻が赤い」という理由で、みんなに笑い者にされ、仲間はずれにされていたからです。 彼にとって真っ赤な鼻は、隠したい恥ずべき「欠点」以外の何物でもありませんでした。

そこに現れたサンタさんは、こう言います。 「暗い夜道は、ぴかぴかの お前の鼻が役に立つのさ」

するとどうでしょう。今まであんなに恥ずかしかった赤い鼻が、一瞬にして「夜道を照らすライト」という「才能」に変わったのです。

実はこれ、心理学で「リフレーミング(Reframing)」と呼ばれるテクニックです。 写真のフレーム(枠)を架け替えるように、物事を見る「枠組み」を変えて、全く別の意味を持たせること。

サンタさんのすごいところは、「鼻が赤くたっていいじゃないか」と慰めたのではなく、
「赤いからこそ、役に立つ場面がある」と、価値を大逆転させたことにあります。

事実は一つも変わっていないのに、見方一つで世界は変わる。これがリフレーミングです。

◆ 「短所」なんて存在しない?

この魔法、私たちも日常でどんどん使えます。
私たちはつい自分の性格を「短所」だと思って悩んでしまいますが、リフレーミングの視点に立てば、すべての短所は「長所の裏返し」でしかなくなります。

たとえば、こんな風に変換してみましょう。

  • 「飽きっぽい性格」 → 別のフレームで見れば…「好奇心が旺盛で、切り替えが早い!」
  • 「心配性で緊張しやすい」 → 別のフレームで見れば…「危機管理能力が高く、慎重!」
  • 「空気が読めない(マイペース)」 → 別のフレームで見れば…「周囲に流されず、独創的な視点を持っている!」

こう考えると、「直さなきゃいけない欠点」なんて、本当は一つもないのかもしれません。

ただ、「その特性が輝く場所(フレーム)にいなかっただけ」なんですね。

◆ 自分の中の「サンタクロース」を呼び覚ませ

もしもあなたが、自分のコンプレックスに押しつぶされそうになった時は、心の中に「小さなサンタさん」を登場させてみてください。

そして、鏡の中の自分に向かってこう問いかけるのです。 「この『弱点』が、もし『武器』になるとしたら、どんな場面だろう?」「この性格のおかげで、助かっていることはないかな?」

自分の性格そのものを変えるのは、とても大変なことです。でも、「フレーム」を変えるだけなら、今この瞬間からでもできます。

かつて笑われた赤い鼻が、クリスマスの夜になくてはならない光になったように。 あなたが「嫌だな」と思っているその部分こそが、実は誰かの足元を照らしたり、あなた自身を助けてくれたりする「最強の武器」になる可能性を秘めているんですよ。

何か少しでも参考になることがあれば幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

(完)