すでになってた名探偵。~立川心療内科マンガ

◆ 名探偵ものに出てきがちな「あるあるセリフ」
名探偵に追い詰められた犯人が言いがちな、
「面白い推理ですね。探偵さん、小説家にでもなったらどうですか?」
という一言。
推理小説やミステリードラマに親しんでいる人なら、
「聞いたことがある」と感じる展開ではないでしょうか。
現在の推理作品では、ここまで露骨なセリフは減っていますが、
読者の記憶には強く残っている“お約束”のひとつです。
◆ 心理学的に見ると「ありえる」反応
このセリフ、物語的には負け惜しみや皮肉に見えますが、
心理学的に考えると、実はかなり自然な反応です。
人は後ろめたいことや不利な話題に直面すると、
・その話題を深めたくない
・これ以上話すとボロが出そう
・感情が乱れてしまいそう
と無意識に感じます。
その結果、話題そのものから距離を取ろうとする行動が起こります。
◆ なぜ話題をそらしたくなるのか
心理学では、人は強い不安や罪悪感を感じる場面で
「防衛的なコミュニケーション」を取りやすいことが知られています。
具体的には、
・沈黙を避ける
・質問に正面から答えない
・別のテーマに会話を移す
といった反応です。
今回のセリフもその一種で、
推理の正否には一切触れず、
「あなたは才能がある」
「別の道に進んだらどうか」
と、相手の将来や評価の話にすり替えています。
◆ これは「反論」ではなく「回避」
重要なのは、この言葉が
論理的な反論でも、説得でもない点です。
犯人は、
・推理が間違っている
・証拠が不十分だ
とは一言も言っていません。
つまりこれは、
議論を放棄し、論点から逃げるための発言だと考えられます。
心理的には、
「その話題には触れないでほしい」
「そこに留まりたくない」
というサインに近いものです。
◆ 日常会話でもよく起こること
この構造は、フィクションの中だけの話ではありません。
日常でも、
・急に冗談を言い出す
・相手の性格や将来の話に切り替える
・本題とは関係ない評価を始める
といった形で、同じ現象はよく見られます。
会話の流れの中で
「今、話題をすり替えられたな」と感じる瞬間があれば、
相手が何かしら心理的な負荷を感じている可能性は高いでしょう。
◆ まとめ
追い詰められた場面に立たされたとき、人は必ずしも黙り込むとは限りません。
むしろ多くの場合、とっさに別の話題を持ち出したり、場の流れを変えようとする言動が出やすくなります。
会話の「ズレ」は、必ずしも偶然ではありません。
それは、相手の心の負荷が言葉の形で表に出た結果とも考えられるのです。
フィクションの定番セリフは、
人間のこうした現実的な心理を、少し誇張して描いているだけなのかもしれません。
今回の話、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
(完)



